【残酷な進化論】
更科功(さらしないさお)氏の心に響く言葉より…
直立二足歩行をすることと犬歯が小さいことだ。
化石記録を見るかぎり、この2つはほぼ同時に進化したようだ。
それは約700万年まえ、つまり人類が他の類人猿と分岐したときである。
したがって、この2つの特徴が、人類というものを誕生させた可能性が高い。
直立二足歩行の利点はいくつか考えられるが、その中の一つは「両手が空くので食料を運べる」ことだ。
しかし直立二足歩行は、人類以前には進化しなかった。
その理由はおそらく、直立二足歩行には走るのが遅いという、重大な欠点があるからだ。
この欠点が他の利点を上回っていたために、直立二足歩行は進化しなかったのだろう。
いくら食べ物を手で運べても、運んでいる最中に肉食獣に食べられてしまっては元も子もないのである。
しかし、地球の歴史上初めて、人類では直立二足歩行の利点が欠点を上回ったので、直立二足歩行が進化した。
そしてそれは、犬歯が小さくなったことと関係している可能性が高い。
群れの中には複数のオスと複数のメスがいる。
そのため、メスをめぐってオス同士の争いが起きる。
このとき使われるのが、牙だ。
ところが人類には牙がない。
あまりメスをめぐって争うことがなかったのだろう。
現生の類人猿では、オランウータンと多くのゴリラは一夫多妻、
ゴリラの一部とチンパンジーとボノボは多夫多妻的な群れをつくる。
一夫多妻や多夫多妻の社会では、メスをめぐるオス同士の争いをなくすことは難しい。
一頭のメスに、同時に複数のオスが集まるからだ。
また、直立二足歩行によって得をするのは、運ばれる人だ。
たとえば子供は、自分で食料を探しに行くのが難しい。
だから、食物が運ばれてくれば、子供は大きな利益を得ることができる。
食物を運んで生存率を高くした子は、たいてい自分の子供だ。
したがって、自分の遺伝子を受け継いだ自分の子供が、生き残りやすくなる。
したがって、直立二足歩行をする個体が増えていく。
つまり、直立二足歩行が進化することになる。
このように、一夫一妻的な社会を仮定すれば、直立二足歩行と小さい犬歯という二つの特徴を説明することができるのだ。
一方、一夫一妻的な社会では、メスをめぐるオス同士の争いは、一夫多妻や多夫多妻の社会よりも穏やかになる。
そのため、約700万年前の人類は、一夫一妻的な社会をつくるようになったので、オス同士の争いが穏やかになり、犬歯が小さくなったことを説明できる。
ところがそれだけでなく、直立二足歩行を始めたことも説明できるのである。
『残酷な進化論』NHK出版新書
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本書に「人間の難産」についてこう書いてある。
『脳が大きくなることによって進化した特徴の一つは難産だ。
人類は直立二足歩行をすることによって、少し難産になり、
脳が大きくなることによって、さらに難産になった。
ヒトはすべての哺乳類の中で、もっとも難産な種の一つである。
難産になったため、出産には誰かがつき添うことが多い。
かつては出産する女性の母親や姉妹や親族の女性などが、つき添うことが普通だった。
このような社会的出産は何十万年も前から行われていた可能性がある。
このようにして生まれた赤ちゃんにも、私たちに特有な、大きな特徴がある。
それは、とても無力だということだ。
そのため、生まれたあともかなりの長期間にわたって、誰かに世話をしてもらわなければならない。
しかも、ヒトは短い出産間隔で子を産むことができるので、無力な赤ちゃんが一人ではなく何人もできてしまう。
だから、とても母親だけでは世話をすることができない。
チンパンジーの授乳期間は4~5年と長く、そのあいだ、子育てをするのは母親だけである。
母親一人では乳飲み子を何人も世話することができないので、子供が乳離れをするまでは、次の子供をつくらない。
そのため、出産間隔が長くなるのである。
他の類人猿も出産間隔は長く、ゴリラは約4年、オランウータンは7~9年である。』
ヒトの赤ちゃんは非常に世話が焼ける。
そこで、人には共同で子育てをする仕組みができた。
そのためにも、一夫一妻の制度が重要な役割を果たしている。
つまり、長期にわたる制度の安心や安全の担保だ。
今後も一夫一妻制はどんどん進化する。
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🤔🤔🤔
なるほど~💦
俺みたいに「母親なんやけん、頑張らんか~い」と、
嫁さんに偉そうに言ってる奴は
制度を守れてないんですね💦
頑張りま~す😅
今日も、ありがとうございました🙏