我が家のルールブック

一歩一歩が最速の近道

チョウ・キジェ監督

 

「僕の中にはいい選手やいいスタッフになるためには、一つや二つの苦しいことをバネに立ち上がってくるような強いメンタリティを持った人じゃないと、この世界はやっていけないという考えがあります。今でもそれは変わりませんが、その中で自分の持っている『温度』を周りにも求めてしまった。自分の言葉が行き過ぎたり、配慮が足りなかった。そのことによって被害を受け、傷つかれた人たちがいるのは現実です。

もちろんその人たちに謝罪の言葉をかけられる場所があれば、そういうことをしたい。でも今できることと言えば、自分がこの1年で学んだことを生かして、これからサッカー指導者としてどういうことを見せられるか。それが大事なのかなと思います」

 

当時の自分に足りなかったことを模索する日々。すべての選手たちに愛情を持って接しているつもりだった。ただそれは過信だったのかもしれない。ひとつの結論として、一人ですべてをやろうとしてしまっていたことへの反省がある。

「たとえば厳しい指導を投げかけたときに、愛と受け取れる状況なのか、憎たらしいと受け取れる状況なのか。紙一重だと思うし、状況によっては時間が経つと『愛だったんだ』と受け入れられる状況もあると思っていた。選手を厳しく指導すること、その選手の様子を見ながら後からフォローすることも、当時は自分一人でやっていたんですけど、クラブやスタッフと連携して、役割分担をしないといけなかったんだと思います」

 

嵐が吹き荒れた2019年が終わろうとしていた暮れのある日、曺のもとにある連絡が入った。待ち合わせたのは日本の出発点、東京駅。

併設するデパートのうなぎ屋で面を合わせた男の口から思いもよらぬ提案がされた。

“研修期間”として流通経済大学でサッカー部のコーチをやってみないか。

「また堂々とJの舞台に立ってほしい」。声の主は流通経済大学監督の中野雄二である

 

中野も当時を回想し、曺を招き入れた経緯を説明する。

当時の流通経済大は前のシーズンに史上初めて1部降格の屈辱にまみれ、選手だけでなく中野らスタッフも自信を失いかけていた。

「日本の指導者の宝」と評価する曺も同じように窮地に立たされている。曺にS級ライセンスの停止処分を科したJFA技術委員会のメンバーでもある中野だが、放って置くことが出来なかったという。

「指導において、一番ひどいのは見て見ぬふりをすることだと思います。だから目の前の選手を少しでもよくしたいと考えて、時と場合に応じて怒らなければいけないときもあります。私なんかはもしそういう場面を目撃したら、まず『どういう経緯があったんだろう』と考えます。

だけど今の時代は、その怒られている部分だけが切り取られてしまう。それで築いてきたものをみんな失ってしまっては指導者がかわいそうです。

今回もこの一つのことで曺さんがサッカーの現場に立てなくなってしまうことが起きたら、サッカー界ってあまりにも冷たいんじゃないか。

反省するべき部分は反省した上で、堂々とJの舞台に戻る道筋を作るべきだということが僕の中の考えでした」

 

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サッカーの関東大学トーナメント決勝で、2部リーグの流通経済大学が3ー2で早稲田に勝ち、初めて2部の大学が優勝しました❗

 

優勝チームのコーチが、J1湘南ベルマーレ前監督のチョウ・キジェコーチです❗

 

反省する人❗

手を差し伸べる人❗

やっぱり人間味って、素晴らしい😉

今日も、ありがとうございました🙏